手づくりガラス特有の“気泡”について
「職人の技が息づく手づくりガラス 」
当社のガラス製品づくりは、まず珪砂にソーダ灰などの原料を加え、調合したものを素焼きの壺に入れて一晩かけて溶かすところからはじまります。溶けたガラスを約1,300度の高温の壺の中で、熟練の職人が鉄製パイプ(竿)に丁寧に巻き付け、グラスの形状に合わせて均一な薄さと重さになるよう吹き上げます。その後、ゆっくりと冷却し、口を擦り、磨き、加工し、検品を行います。そのすべての工程に職人たちの技術と経験が息づいています。そして、1日の作業が終わると原料を継ぎ足し、365日窯の火を絶やすことはありません。
「ガラスの“気泡”は手づくりであることの証」
ガラス製品づくりの工程の中で、原料を溶かすことを「煮る」と表現しています。水が沸騰する際に気泡が発生するのと同様に、ガラスを溶かす際にも気泡が生じます。 職人たちは長年の経験に基づき、煮る時間や細かな温度調整を行い、ガラスを巻き取る際にも気泡をできるだけ除去していますが、素焼きの壺や鉄竿からも気泡が発生してしまいます。それらを踏まえて、検品時には大きな気泡が入った製品は除外するなど、品質管理に努めています。しかし、一つひとつ手づくりでつくられるガラス製品の気泡を完全に除去することはできません。一方、 24時間稼働するオートメーションの工場で製造されたガラス生地には、ほとんど気泡が見られないため、当社ではガラス製品の気泡はむしろ手づくりであることの証であると捉えています。また微細な気泡はガラスの強度や安全性に影響を及ぼすことはないため、手づくりガラスに独自の表情をもたらす唯一無二の個性としてお楽しみいただけると幸いです。